懇々こん/\)” の例文
僕の主義は僕が社會に懇々こん/\主張したくらゐで、いやしくも自分が努力してゐると思つたことなら、そこに必らず實行が添つてゐる。成功、不成功は問ふところでない。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
平次は懇々こん/\と事をわけて話しますが、お谷は頑固に默りこんで、なか/\唇を開けさうもないのです。
巧みに義眼をめれば、普通の眼と殆ど見分けがつかぬことなどを懇々こん/\説諭せつゆして、なおその言葉を証拠立てるために、義眼を入れた患者を数人、患者の前に連れて来て示したので
痴人の復讐 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
おいそれ者の勝五郎が飛出そうとするを引止め、高根の晋齋は懇々こん/\と依頼しました。
井上でも大橋でも脱会の決心をひるがへしたのは、篠田さんに懇々こん/\説諭されたからでもありますが、姉さん、篠田さんの居ない教会に、寂しく残つて居なさる貴嬢を見棄みすてるに忍びないと云ふのが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
亀甲万の御主人も親切なお方でございますから、懇々こん/\説諭を致しました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)