慶次郎けいじろう)” の例文
するとにわかに慶次郎けいじろうが私のところにやって来てしがみつきました。まるで私の耳のそばでそっとったのです。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
小野氏ではこの年令図れいとが致仕して、子富穀ふこくが家督した。令図は小字おさなな慶次郎けいじろうという。抽斎の祖父本皓ほんこうの庶子で、母を横田氏よのという。よのは武蔵国川越かわごえの人某のむすめである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「あっ、慶次郎けいじろうよな。たれに断わって、ついて来たか」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慶次郎けいじろうがぽいっとおじぎをしましたからわたくしもしました。紺服の役人はメリケン粉のからふくろを手に団子だんごのようにきつけていましたが少しかがむようにしました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこで土曜日に私は藤原慶次郎けいじろうにその話をしました。そして誰にもその場所をはなさないなら一緒いっしょに行こうと相談しました。すると慶次郎はまるでよろこんで言いました。
(新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
藤原慶次郎けいじろうがだしぬけに私にいました。私たちがみんな教室に入って、机にすわり、先生はまだ教員室に寄っている間でした。尋常じんじょう四年の二学期のはじめごろだったと思います。
鳥をとるやなぎ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
慶次郎けいじろうの顔を見ましたらやっぱりまっさおくちびるまでかわいて白くなっていました。私は役人に縛られたときとったきのこたせられて町を歩きたくないと考えました。そこでそっと慶次郎に云いました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)