これ)” の例文
巍は遼州りょうしゅうの人、気節をたっとび、文章をくす、材器偉ならずといえども、性質実にこれ、母の蕭氏しょうしつかえて孝を以て称せられ、洪武十七年旌表せいひょうせらる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
凡ソ事ハ名実相副あいそフヲ貴ブ。これ集ハ則然ラズ。むしろ名ニ反シテ実ニ従フ者ナリ。然リトイヘドモ余コレヲ能クストイフニ非ラズ。願ハクハ学バン矣。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
然して威令の行わるる所、既に前にて後に仰ぎ、聡明の及ぶ所、反って小を察して大をわする。貧者は獄に入りてわざわいを受け、富者は経を転じて罪を免る、これ傷弓しょうきゅうの鳥を取り、つね呑舟どんしゅうの魚を漏す。
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「クワイア」を作ることをこれ務むるが如きは是れ荘子の所謂いはゆる水止水以火止火ものなり、思ふに日本の今日は器械既に足れり、材料既に備れり、唯之を運転するの人に乏しきをうれふるのみ
鼎炉銚碗ていろちょうわんハ古キモマタ可ナリ新シキモマタ可ナリ。これソノ有スル所、イヤシクモゆうヲ誇リ奇ヲたたかわスノ意アレバ器物ニ役セラル。茶博士ニ陥ルニ非ザレバ必骨董こっとう者流ニ陥ラン。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
親藩 待つことこれ久しかりき。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)