御緩ごゆっく)” の例文
ねんばり一湿ひとしめりでございましょう。地雨じあめにはなりますまい。なあに、また、雨具もござる。芝居を御見物の思召おぼしめしがなくば、まあ御緩ごゆっくりなすって。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「また御出掛ですか。よござんす。洋燈はわたくしが気を付けますから。——小母さんが先刻さっきから腹が痛いって寐たんですが、何大した事はないでしょう。御緩ごゆっくり」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下婢「いじゃアありませんか、まア御緩ごゆっくりなすっていらっしゃいましよ…奥さん私はお湯に這入るのを忘れましたから、ちょいとお湯に這入って参りますから」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「月でもかわりましたら、御緩ごゆっく入来いらしって下さい」と正太は叔父叔母の顔を見比べて
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「今お帰り? 大変御緩ごゆっくりでしたね。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
マア御緩ごゆっくりとお遊びなさい
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ま、ま、めしあがれ、熱いところを。ね、御緩ごゆっくり。さあ、これえ、お焼物やきものがない。ええ、間抜けな、ぬたばかり。これえ、御酒ごしゅ尾頭おかしら附物つきものだわ。ぬたばかり、いやぬたぬたとぬたったおんなだ。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「オヤ、只今ただいま御帰りで御座いますか。大層御緩ごゆっくりで御座いますネ」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
娘「まア御緩ごゆっくりと遊ばしまし左様なら有難う」
あいにく宅は普請中でございますので、何かと不行届ふゆきとどきの儀は御容赦下さいまして、まず御緩ごゆっくりと……と丁寧に挨拶あいさつをして立つと、そこへ茶を運んで来たのが、いま思うとこの女中らしい。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「早瀬さん、御緩ごゆっくり。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうぞ御緩ごゆっくり。」
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)