御名代ごみょうだい)” の例文
(間)私が比叡山ひえいざんで一生懸命修行しているころであった。慈鎮和尚じちんかしょう様の御名代ごみょうだいで宮中に参内さんだいして天皇の御前で和歌をませられた。その時の題が恋というのだよ。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
かしこくも天の下しろしめす皇帝、ピョートル一世陛下の御名代ごみょうだいとして、本癲狂院ほんてんきょういん査閲さえつを宣す!」
「東雲さんは病気で休んでおいでなさいます、まあ、よろしいではございませんか、御名代ごみょうだいを……」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その弟の主水重昌もんどしげまさは、慶長十九年大阪冬の陣の和がこうぜられた時に、判元見届はんもとみとどけの重任をかたじけなくしたのを始めとして、寛永十四年島原の乱に際しては西国さいごくの軍に将として、将軍家御名代ごみょうだいの旗を
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
またかみに置かせられてもお聞き及びの通り御病中ゆえ、碌々ろく/\お訪ね申さんが、予の病気より梅の御殿の方が案じられると折々おり/\仰せられます、今日こんにちは御病気伺いとして御名代ごみょうだいまかり出ました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一年ひととせ、比野大納言、まだお年若としわかで、京都御名代ごみょうだいとして、日光の社参しゃさんくだられたを饗応きょうおうして、帰洛きらくを品川へ送るのに、資治やすはる卿の装束しょうぞくが、藤色ふじいろなる水干すいかんすそき、群鵆むらちどりを白く染出そめいだせる浮紋うきもん
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いかにも晴がましく候て、心苦しく候えども、これまた主命なれば是非なくそろ立会たちあいは御当代の御名代ごみょうだい谷内蔵之允たにくらのすけ殿、御家老長岡与八郎殿、同半左衛門殿にて、大徳寺清巌実堂和尚も臨場りんじょうせられ候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「実は今日こんにちは川島家の御名代ごみょうだいでまかりいでましたので」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)