)” の例文
扉の上に、うきりになって、牡牛おうしがねそべり、そしてその牡牛はこっちを向いて、長い舌を出しているのが、とりついていることだった。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お宮の扉の上にある象鼻ぞうはな獅子頭ししのあたま彫刻ちょうこく、それから宮の中のかしりの鳩やにわとりなども、昔手をふれたままなのがたまらなくなつかしい。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
簀戸すどの腰板に、観世水かんぜみずかしりになっていた。あいと白の浴衣ゆかたに、あかい帯揚げが、ちらりと、そこに動いた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間もなく雀は力強い羽音をたて、澄みきった冬空にりのように静まりかえっているくぬぎ疎林そりんをぬけて、遠くに飛び去った。そして、すべてはまたもとの静寂にかえった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そうして戸棚の扉の鳥の形をしたすかりが、丁度眼の前に見えます。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
またくらにもきんめっきしたすかりのうつくしいかざりがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そしてその部屋には、土や石できずいた寝台のようなものがあり、壁にはさまざまのりで、絵画や模様らしきものや不可解ふかかいな古代文字のようなものがきざまれてあった。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いや、なにがしの作というような品ではない。拙者が旅のつれづれに、梅の古木へ小刀りで彫った小さい坐像の観世音。一飯の価には足らぬかもしれぬが……。まあ、見てくれい」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄の扉には、日本文字が、うすりで並んでいた。「新につぽん探検隊月世界倉庫第九号」
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
扉の上に、牡牛の像が、うきりにつけてあったからだ。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)