引捲ひきまく)” の例文
それ故私は旅館の寝床の毛布を引捲ひきまくる時にはいつも嫌悪の情に身をふるわす。ここで昨夜ゆうべは誰れが何をした。どんな不潔な忌わしい奴がこの蒲団マトラの上に寝たであろう。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
秀吉は此の時、遙か後の山上に立ち、あれを見よ、あれを見よとばかりに指さし、しり引捲ひきまくり小躍りしたと云うから、相当に目覚しい攻撃振りだと思われる。もっとも臀をまくるのは秀吉の癖である。
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)