引張ひっぱっ)” の例文
... 引張ひっぱって来さっせい」お代「そうでもしなけりゃこの腹がえねいだ。和女おまえも一緒に来さっせい」と怒りのあまりに家の内を空虚からあきとなし
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
もうね、可愛いんだ、——ああ、可恐こわい、と思うと、きまったように、私のたもと引張ひっぱったっけ、しっかりと持って——左の、ここん処にすわっていて
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
スルトそのつな引張ひっぱって呉れ、其方そっちの処を如何どうして呉れと、船頭せんどうが何か騒ぎ立て乗組のりくみの私に頼むから、ヨシ来たとうので纜を引張たり柱を起したり
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
是非顔を合せなければならない場合には、誠太郎か、縫子か、何方どっち引張ひっぱって父の前へ出る手段を取っていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
英艦に投ずそれはさて置きここに薩摩の船を二艘此方こちら引張ひっぱって来ると云う時に、その船長の松木弘安まつきこうあん(後に寺嶋陶蔵てらじまとうぞう又後に宗則むねのり)、五代才助ごだいさいすけ(後に五代友厚ともあつ)の両人が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
れする中に私がわずらついて、その事は病後まで引張ひっぱって居て、病気全快に及ぶとうときだから、明治三年にいよ/\放免になりましたが、ただ残念で気の毒なのは
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)