“庭面”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にわも87.9%
にわづら6.1%
にはおも3.0%
にわもせ3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし光秀はまだ懐紙に手もふれていないし、そのひじは、脇息きょうそくに託し、そのおもては、若葉時特有なそよぎを持つ庭面にわもの闇へ向けていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冷えのたつほど咲き重なったベチュニアの花明りのなかで、何十種ともしれぬ蝶が、酔ったようによろめきまわるという、すごく派手な庭面にわづらになった。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いつしか夏も夕影ゆふかげの、葉風すゞしき庭面にはおもにかろく、浮きたるそのすがた。黒地くろぢまだらしろかねの、雙葉もろはを風にうちまかせ花あるかたをたづね顏。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
翌日あくるひの朝種彦は独り下座敷したざしきなる竹の濡縁ぬれえんに出て顔を洗い食事を済ましたのちさえ何を考えるともなく折々毛抜けぬき頤鬚あごひげを抜きながら、昨夜ゆうべ若い男女の忍びったあたりの庭面にわもせ茫然ぼんやり眼を移していた。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)