幅狭はばぜま)” の例文
串戯じょうだんにしてもと、私は吃驚びっくりして、ことばも出ぬのに、女はすぐに幅狭はばぜまな帯を解いた。膝へ手繰たぐると、そでを両方へ引落ひきおとして、雪を分けるように、するりと脱ぐ。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……紡績らしいかすりの一枚着に、めりんす友染と、繻子しゅす幅狭はばぜまな帯をお太鼓に、上からひもでしめて、せた桃色の襷掛たすきがけ……などと言うより、かいな露呈あらわに、ひじを一杯に張って
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白い脚絆きゃはん、素足に草鞋穿わらじばきすそ端折はしょった、中形の浴衣に繻子しゅすの帯の幅狭はばぜまなのを、引懸ひっかけに結んで、結んだ上へ、桃色の帯揚おびあげをして、胸高に乳の下へしっかとめた、これへ女扇をぐいと差して
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
講中なんぞのそろいらしい、目に立つ浴衣ゆかたに、萌葱もえぎ博多の幅狭はばぜまな帯をちょっきり結びで、二つ提げ淀屋ごのみの煙草入をぶらつかせ、はだけにはだけた胸から襟へ、少々誇張だけれど、嬰児あかんぼの拳ほどある
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)