巌窟いわや)” の例文
旧字:巖窟
それがまた非常に佳い景色のように感ぜらるるものですからもちろん山の形などは巌窟いわや禿山はげやまばかりで面白くも何ともないが
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其の儀は、とかくに申しまするが、如何いかがか、いずれとも相分あいわかりませぬ。此の公園のづツと奥に、真暗まっくら巌窟いわやの中に、一ヶ処清水しみずく井戸がござります。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「この深い深い林の中を西へ西へと三里余り参ると一つの大きな巌窟いわやがござる。巌窟いわやの中につるぎがござる」
窮屈きゅうくつな境遇の源氏はこうした山歩きの経験がなくて、何事も皆珍しくおもしろく思われた。修験僧の寺は身にしむような清さがあって、高い峰を負った巌窟いわやの中に聖人しょうにんははいっていた。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
其穴それ巌窟いわやの少し東の山間やまあいにあるので、即ち尸棄仏陀シキぶっだの塔の横に在る家の中に在るのですが、この穴は十二年に一遍ずつしか開けられない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
沖から遠眼鏡とおめがねで望んだら、またたきする間も静まらず、海洋わだつみあおき口に、白泡の歯を鳴らして、刻々島根を喰削くらいけずらんず、怖しき浪のかしらおさえて、巌窟いわやの中に鎮座まします
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで十二時前ちょうど逢う時が来たというので参詣に来て居る二十名位の人と一緒にその巌窟いわやへ指して逢いに行ったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
が、それから気を着けて、お知合のお医者様へいらっしゃるというのは嘘で、石滝のこちらのお不動様の巌窟いわやの清水へ、おつむりひやしにおいでなさいますのも、存じております。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この公園のずッと奥に、真暗まっくら巌窟いわやの中に、一ヶ処清水のく井戸がござります。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)