崇厳すうごん)” の例文
いなとよ。牢獄の闇にも、陽はしたではないか。正大な天道の下には、この世ほどきよく気高い所はなく、人間程崇厳すうごん善美ぜんびなものはないのだ)
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
非常に崇厳すうごんな仏事であった。五日の間どの日にも仏前へ新たにささげられる経は、宝玉の軸にうすものの絹の表紙の物ばかりで、外包みの装飾などもきわめて精巧なものであった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あたかも晴れ渡った深夜の大空に、きらめく星を打ち仰ぐと、人は誰でも「永遠」を想い無限を予感する如く、己はお嬢さんの崇厳すうごん輪廓りんかくや、端正なひたいや、清浄なひとみの奥を視詰めると
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
気持のいい谷川の瀬の音と電車の音とは実は従兄弟いとこである。それから電車のポールの尖端から出る気味の悪い火花も、日本アルプスを照らす崇厳すうごんな稲妻の曾孫ひまごくらいのものに過ぎない。
電車と風呂 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
義経の眼も心も、しばしその崇厳すうごんな光に溶かされていた。吉次も凝視していた。うしろの木々の蔭を立ち出た将士も、面をかれながらしゅくとして見まもっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何か、崇厳すうごんな感じすら人々はうけた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)