嫌気いやき)” の例文
旧字:嫌氣
と得意になつて、薄い唇を大きく張つて喋べる。何となしに野鄙な処があるので、栄一は云ふ事の出来ぬ嫌気いやきを感じた。
『鼻』に嫌気いやきがさしていた山口を誘い、彼の親友、岡田と大体の計画をきめてから、ぼくは先ず神崎、森の同感を得、次に関タッチイを口説くどきに小日向に上りました。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わが家のアメリカ教育が、意外に高価たかくつくので、さすがの賢夫人も、嫌気いやきになっているらしい。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ただ、あいつが僕の所へ来た手紙の事で、嫉妬やきもちを焼いただけの事なんだ。が、その時僕はあの女の腹の底まで見えたような気がして、一度に嫌気いやきがさしてしまったじゃないか。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただ文書を以て交際するだけなら折々小面倒で嫌気いやきを生ずる事があってもそれほど深く身にみないが、面と向っては容易に親しまれないで、小難こむずかしくて気ブッセイで堪えられなかったろう。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
キャラコさんは、なんだか嫌気いやきがさしてきて、ついて行きたくなくなった。
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
三唖も旋毛つむじの少々曲った変梃へんてこな男だから嫌気いやきがさしてた暫らく足を遠のくと、今度は他の家へはマメに出掛けるくせに社のものの方へはまるきりいたちの道てのはあんまり義理を知らなさ過ぎるぜと
石田氏は嫌気いやきになって、投げだすことしか考えにないらしく、百々子に
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)