奥多摩おくたま)” の例文
ヘリコプターは、町や村の上を通らないようにして、山づたいに、東京都の西のはじの奥多摩おくたまの方にむかって、すすんでいました。
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
『してみれば、山越えして、奥多摩おくたまから武州ぶしゅうへ出るなんて、嶮岨けんそな道をとって、しかも廻り道したりするよりは、江戸表へ寄らずに、真っ直に京都へ出てしまおうじゃないか』
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
萱屋根の上に棟押むねおさえの木を組んでのせたもので、現在奥多摩おくたまの山村などにある農家よりも、今ひとかさ偉大なものが、昔の東京市内には立っていたので、それがこの大火に焼けて
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
団員のかつら正一君と篠崎始しのざきはじめ君とが、奥多摩おくたま鍾乳洞しょうにゅうどうを探検しようじゃないかと、ねっしんに主張しました。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
奥多摩おくたま鍾乳洞しょうにゅうどうで会ってから、もう何年になるかな。あの時きみはすぐ刑務所に入れられたが、一年もしないうちに、刑務所を脱走して、どこかへ姿をくらましてしまった。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)