天武てんむ)” の例文
薬師寺東院禅堂の聖観音立像は、天武てんむ天皇の時代、百済王より献上せる白鳳はくほう期最高の霊像といわるるみ仏である。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
下流の方のは「葛」の字をて、上流の方のは「国栖」の字を充てて、あの飛鳥浄見原天皇あすかのきよみはらのすめらみこと、———天武てんむ天皇にゆかりのある謡曲ようきょくで有名なのは後者の方である。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『古事記』は天武てんむ天皇が稗田阿礼ひえだのあれ伝誦でんしょうさせられたのを太安万侶おおのやすまろが書いたものであります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
日本書紀第十六巻に記録された、太子がしびという男に与えた歌にも「ない」が現われており、またその二十九巻には天武てんむ天皇のみ代における土佐国とさのくに大地震とそれに伴なう土地陥没の記録がある。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
山海万里のうちにはおのずから異風奇態の生類しょうるいあるまじき事にあらず、古代にも、仁徳にんとく天皇の御時、飛騨ひだに一身両面の人出ずる、天武てんむ天皇の御宇ぎょう丹波たんば山家やまがより十二角の牛出ずる、文武もんむ天皇の御時
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
薬師寺はもと大和高市郡たけいちのこおり岡本郷に草創された天武てんむ天皇勅願のみ寺であるが、その後、元明げんめい天皇平城遷都せんとさるるに伴い、いまの右京六条の地に移されたのだという。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
推古すいこ天皇ならびに上宮太子、あるいは天武てんむ天皇、聖武天皇、光明皇后の信仰を拝しても明らかなように、決して御一身のみの利益と平安をめざされたものでなく
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)