大魚おおうお)” の例文
けれど、そこにも、ここにもれるうおは、みんな黒色こくしょくのものばかりであって、一つとして金光きんびかりをはな大魚おおうおはかからなかったのでありました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ船底を踏占めるような、重い足取りで、田畝たんぼ添いのすねを左右へ、草摺れに、だぶだぶと大魚おおうおゆすって
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
………チッツンチッツン、ツン、チンリン、チンリンやしょめ、やしょめ、京の町の優女やしょめ、………大鯛おおだい小鯛、ぶり大魚おおうおあわび栄螺さざえ蛤子々々はまぐりこはまぐりこ、蛤々、蛤召ッさいなと、売ったる者は優女やしょめ
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
うってがえしに、あの、ごろうじ、石段下を一杯に倒れた血みどろの大魚おおうおを、雲の中から、ずどどどど!だしぬけに、あの三人の座敷へ投込んで頂きたいでしゅ。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
麓では、二人の漁夫りょうしが、横に寝た大魚おおうおをそのまま棄てて、一人は麦藁帽むぎわらぼうを取忘れ、一人の向顱巻むこうはちまき南瓜とうなすかぶりとなって、棒ばかり、影もぼんやりして、うねに暗く沈んだのである。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すれ違って一人、溌剌はつらつたる大魚おおうおげて駈通かけとおったものがある。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)