大立物おおだてもの)” の例文
しかも彼は、九月三十日以来、犯人の顔を見た地上ゆいいつの人間として、全英の新聞と話題の大立物おおだてものになっていた矢先だ。その手前もある。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
骨となってまでも宙宇にさまよった大杉は永久に浮ぶ瀬はあるまいが、鼠色でも鳶色とびいろでも歴史上の大立物おおだてものとなったのはめてもの満足であろう。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
渦巻の模様の中心となった流行はやり俳優やくしゃ——ニコポン宰相の名を呼ばれ、空前とせられた日露戦争中の大立物おおだてもの——お鯉の名はいやが上に喧伝けんでんされた。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
なにしろこの探索では小坊主が大立物おおだてもので、その口から本山派と反対派の捫著もんちゃくを聴いたので、わたくしもそれから初めて探索の筋道をたてたようなわけですからね。
半七捕物帳:25 狐と僧 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
保元平治の乱の頃の大立物おおだてものであった悪左府頼長あくさふよりなが、すなわち道長の直系の関白忠通の弟であった頼長は、ことに政治制度の上での復古主義者で、律令格式の研究に熱中し
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
言うまでもなくハイネは当代の大詩人で、ロマン派の大立物おおだてものであった。その燃えるような情熱と、皮肉な聡明そうめい人柄ひとがらは、若いシューマンをすっかり傾倒させてしまったのも無理のないことである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
以前この裸体のダンサアをパトロナイズした政界、実業界の大立物おおだてものがうんといる。みんな他人に戦争させてのらくらしているブルジョア連中である。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
新富座主が新機運をつかんだ機智と並んで、劇界の大明星であった、九世市川団十郎の人格、識見——伝統的大立物おおだてものの風格が、当時の学者、識者、貴顕たちに
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
天晴あっぱれ東洋の舞台の大立物おおだてものを任ずる水滸伝的豪傑が寄ってたかって天下を論じ、提調先生昂然こうぜんとして自ら蕭何を以て処るという得意の壇場が髣髴としてこの文字の表に現われておる。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そこで、今さらのように飛鳥井家が仰せを拝したのであるが、これが今さらのように見えるほどに、歌壇の大立物おおだてものの居り場所が、宮廷貴紳の間から外へずれて来ているのであった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
依頼人がロス氏というビジネス界と市政の大立物おおだてものなので、とくに大事をとったにすぎなかったのかもしれないが、この署長の措置そちは、おおいに機宜きぎを得たものとして
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)