はか)” の例文
父母のはかにぬかずく以外には、まだ他人へ膝をかがめたことを知らない孫権である。——孔明はじっとその態を見つめていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
囲炉裏にほたをさしくべ、岩魚の串刺にしたやつをあぶりながら、山林吏が、さっき捨てた土饅頭は何だね、と案内の猟師に訊ねる、旦那、ありゃ飛騨の御大名のはか
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
流し斯るいやししづ腰折こしをれも和歌のとくとて恐多おそれおほくも關白殿下くわんぱくでんかへ聽えしも有難さ云ん方なきに況てや十ぜんじようの君より御宸筆しんぴつとはと云つゝ前へがツくり平伏へいふく致すと思ひしに早晩いつしか死果しにはてたりしとぞ依て遺骸なきがら洛外らくぐわい壬生みぶ法輪寺ほふりんじはうむり今におかち女のはか同寺どうじにありて此和歌わかのこりけるとかや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また夏の六月には、魏王曹丕そうひの巡遊が実現された。亡父曹操の郷里、はい譙県しょうけんを訪れて、先祖のはかを祭らんと沙汰し、供には文武の百官を伴い、護衛には精兵三十万を従えた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)