しゅう)” の例文
二千人以上の殉教者と三万数千人の被刑者とを出してなおしゅうねく余炎をあげていた切支丹騒動なるものは一段落ついたように見えた。
その影は解決を得ない不安をにれんで、しゅうねくも離れようとしない。それが殆ど彼の生涯にわたっているのである。
差支えないが、「忘れまいぞ、」と自分の力で自分のこころをいましむるところにまだ自力のしゅうが残っておる。
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
一方金弥は広太郎という、恋の競争者が出て以来、にわかにしゅうねくつきまとうようになった。財産からいっても、人物からいっても、到底広太郎の敵ではない。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
嗅覚きゅうかく・味覚・触覚のすべてを挙げて、この世にしゅうしておる。あるとき八戒はっかいおれに言ったことがある。
五郎はうすうすとそれを知っていたが、前者には眼を閉じ耳をふさぎ、後者にしゅうしようとしていた。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
新「宗悦めしゅうねくもこれへ化けて参ったなと思って、思わず知らず斬りましたが、奥方だったか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
モンテスキューいわく、虐政の最も虐なるは法にしゅうして虐を行なうものなり、と。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
心、各〻しゅうあり
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それなのに横の座席にしゅうしたのは、何故だろうか。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)