“嗣(し)” の例文
もし組合中破産廃業の者あるときは組合の者その株式を保管し、適当の者を選んでこれが嗣(し)となし、もってその欠を補わしむ。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
 ——王、太子(将軍の世子)ヲ喪(ウシナ)ウテ、後宮、マタ子ヲ産ムナシ。僧隆光、進言シテ云フ、人ノ嗣(し)ニ乏シキ者、ミナ生前多ク殺生ノ報(ムク)イナリ。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輔之には登勢(とせ)という女(むすめ)一人(ひとり)しかなかった。そこで病(やまい)革(すみやか)なるとき、信濃(しなの)の人某(それがし)の子を養って嗣(し)となし、これに登勢を配した。登勢はまだ十歳であったから、名のみの夫婦である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
友よ、お聴き下さい。わたくしは王者の崩御(おかくれ)の時のように、使を遣わしてあなたの名を四風に叫ばしめようとするものではありません。王者はその嗣(し)に名号(みょうごう)を遺し、その陵墓にその名の響を止めます。
京水の墓誌に多病を以て嗣(し)を廃せらるというように書してあったというのと、符節は合(あわ)するようだからである。過去帖に従えば、庶子善直と姪(てつ)京水とは別人でなくてはならない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)