“喰詰”の読み方と例文
読み方割合
くいつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
宿屋の親父は五平ごへいと云って、年五十九で、江戸を喰詰くいつめ、甲州あたりへ行って放蕩ばかをやった人間でございます。せがれは此の地で生立おいたった者ゆえ質朴なところがあります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかもそうした堅気かたぎの士族出が、社会の最暗黒面であるさと近くに住居して、場末の下層級の者や、流れ寄った諸国の喰詰くいつめものや、そうでなくてもやみの女の生血いきちから絞りとる
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そこで彼はぐっとしゃくさわり、う見えても憚りながら文字の社会ではちっとは名を知られた男だ、其様な喰詰くいつめ者と同じには見て貰うまい、と腹の中ではおおい啖呵たんかを切ったが、虫を殺して彼はうつむいて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)