唐団扇からうちわ)” の例文
そのあいだに、常葉ときわの局は、唐団扇からうちわで横からりょうを送り、百合殿ノ小女房は、天目台てんもくだいにのせたお薬湯のわんをすすめた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
傍らへ寄せた白土の煎茶炉せんちゃろへ、さっきから三つ四つの炭のけらをついでいたが、火箸を置くと、風雅な唐団扇からうちわって、ちりのたたぬ程に炉の口をあおいでいるのだった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白い衫衣すずしに、唐団扇からうちわを持ち、からだをしゃに脇息から、藤夜叉の姿を眺めていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手の唐団扇からうちわで蚊うなりを一つ払って。