“可悪”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にくむべき40.0%
にくむべし40.0%
おそろし20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
(文海披沙)されば獣中(じうぢゆう)最(もつとも)可悪(にくむべき)は狼(おほかみ)なり。余(よ)竊(ひそか)に以為(おもへらく)、狼は狼にして狼なれども、人にして狼なるはよく狼をかくすゆゑ、狼なるをみせず。これが為(ため)に狼毒(らうどく)をうくる人あり。
人の狼なるは狼の狼なるよりも可惧(おそるべく)可悪(にくむべし)。篤実(とくじつ)を外面(げめん)とし、奸慾(かんよく)を内心(ないしん)とするを狼者(おほかみもの)といひ、娵(よめ)を悍戻(いびる)を狼老婆(おほかみばゝ)といふ。巧(たくみ)に狼心(らうしん)をかくすとも識者(しきしや)の心眼(しんがん)は明鏡(めいきやう)なり。
それが——後には可悪(おそろし)い偉大(おおき)な獣(けもの)が、焔(ほのお)を吹いて唸(うな)って来るか、と身震(みぶるい)をするまでに、なってしまった。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)