“口脣”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くちびる50.0%
くち25.0%
こうしん25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたくしはそっと眼をあげてうかゞいますと、奥様は真蒼な顔をして、口脣くちびるをしっかり結んで、たゞ黙って坐っておいでになりました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そして、手紙を持っている右の手は、静かに静かに膝の上へ垂れて行った。一方、彼女はその左の手を、胸をひき裂くかと思われる、頑強な咳を鎮めようとして、口脣くちのところへ持ってゆくのだった。
初雪 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
赤彦君の安らかな顔貌は一瞬何か笑ふに似た表情を口脣こうしんのところにあらはしたが、また元の顔貌に帰つた。その時不二子さん以下の血縁者はかはるがはる立つて赤彦君の口脣をうるほした。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)