卒伍そつご)” の例文
光秀は、池田勝三郎の隊に伍して転戦していたが、彼ももともと、卒伍そつごに交じって、槍先の首ばかりを争っている男ではなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊木若狭いぎわかさが備中越前鎮撫総督ちんぶそうとくになつた時、父は其勇戦隊の卒伍そつごに加はらうとするにも、幾多の抗抵に出逢つたのである。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
賄賂がゆかなかったために、焦生は罪を得て雲南軍の卒伍そつごの中へ追いやられることになった。三人の監者かんしゃが焦生を送って、鳳凰庁下ほうおうちょうかの万山という山の中まで往った。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
不知案内の地へ臨んで戦い、料簡りょうけん不明の政宗とともにするに、氏郷が此の輪之丞以下の伊賀衆をポカリと遊ばせて置いたりいたずらに卒伍そつごの間に編入して居ることの有り得る訳は無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
隊伍隊伍の物頭ものがしらたちも気のない顔である。勝算のない出征だ。卒伍そつごのうちの顔いろを見渡しても、不安と無戦意がみなぎっている。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卒伍そつごに編せらるゝに及び、ぼく北平ほくへいに売る。卜多く奇中して、市人伝えて以てしんとなす。燕王忠をして卜せしむ。忠卜してを得て、貴きこと言う可からずという。燕王の意ようやくにしてかたし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その喊声かんせいのつむじは、何とも名状しがたい卒伍そつごの感情をふくんでいた。怒るが如く、たけるが如き中に、悲痛くが如き絶叫も交じっていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、秀吉とやらは、信長の卒伍そつごから身を起して、いま播磨はりま一円を領し、やがては山陰山陽の二十余ヵ国をも併呑へいどんせんとするかの如き概ある者、おそらく凡人ぼんじんではありますまい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これを撃つ技などは、卒伍そつごのすることで、自分の能事ではありません」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)