包物つつみもの)” の例文
不具者は、たれも見る者がないと思ったのか、別段あわてもしないで、包物つつみものを拾いあげ、懐中にねじ込むと、急ぎ足に立去った。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
お吉其儘そのままあるべきにあらねば雇いばばにはかねやってひま取らせ、色々片付かたづくるとて持仏棚じぶつだなの奥に一つの包物つつみものあるを、不思議と開き見れば様々の貨幣かね合せて百円足らず、是はと驚きて能々よくよく見るに
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何も欲しい物がないといいますと自分が家に帰ってすぐ包物つつみものを持って来ました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
牛のしりがいここに外れてモウともギュウとも云うべき言葉なく、何と珠運に云い訳せん、さりとて猥褻みだらなるおこないはお辰に限りてなかりし者をと蜘手くもでに思い屈する時、先程の男きたりてまた渡す包物つつみものひらきて見れば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)