初蛙はつかわず)” の例文
短檠たんけいの光は時折、烏賊いかのような墨を吐き、風の間に、どこかで片言かたこと初蛙はつかわずが鳴く。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初蛙はつかわずの声もする。夫婦ふたりは、あれから後も寝てはいないようだった。やがて、ひそひそ声がとぎれると、なにか身装いをしだしたり、雨露次が、どこからか、妻と自分の草鞋わらじなど探して来た風だった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
池には、初蛙はつかわずの片言が、ケロケロ聞え出している。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)