凹字おうじ)” の例文
凹字おうじ型の古びた木枕を頭部に当てがいますと、大きな銀色のはさみを取上げて、全身を巻立てている繃帯をブツブツとり開く片端かたはしから
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
山の横腹に掘りかけて、凹字おうじ形が六七分できた頃に打ちすてられたごうの一番奥のところ。土と岩の入れまじった黒い壁と床。
胎内 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
広瀬川はそこで凹字おうじなりに曲流していた。御霊屋のある丘陵が突出ていて、川は南東から来てその丘陵をめぐり、西南へと流れるのであった。
其処そこはかなりの広間で、マホガニーの大卓子テーブルを、凹字おうじ形に配置した上には、素晴らしい飾電灯シャンデリアを三つまで下げ、クリーム色の壁に、胡桃くるみ色の鏡板の腰張りを廻して
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
他の梯は窖住あなぐらずまいの鍛冶かじが家に通じたる貸家などに向かいて、凹字おうじの形に引っこみて立てられたる、この三百年前の遺跡を望むごとに、心の恍惚こうこつとなりてしばし佇みしこと幾度いくたびなるを知らず。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その解剖台上に投げ出された、黒い、凹字おうじ型の木枕に近く、映画面の左手に当ってギラギラと眼もくらむほど輝いておりますのは背の高い円筒形、ニッケル鍍金メッキ湯沸器シンメルブッシュで御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
凹字おうじ形になって、鉄筋コンクリートの城塞風の設計で、正面——即ち、凹字形の底部——は、本屋おもやで、表側全部と裏の二階は、行方ゆくえ不明になった主人春山昇が使用し、凹字形の右翼は、陽子と父
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)