冊立さくりつ)” の例文
現皇帝の哲宗が崩御みまかられた。しかるに、じつの皇太子がおわさぬまま、文武百官の廟議びょうぎ紛々ふんぷんをかさねたすえ、ついに端王を冊立さくりつして、天子と仰ぐことにきまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
皇后が冊立さくりつされることになっていたが、斎宮さいぐう女御にょごは母君から委託された方であるから、自分としてはぜひこの方を推薦しなければならないという源氏の態度であった。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
美女すなわち王を閑処につれ行きてこれを殺し、たちまち呪を以て自身を男に戻し、王冠を戴き、委細を宰牛大臣に告げたので、諸臣この漁師の仮子を冊立さくりつして王とした。
聖武天皇即位六年の後、五位以上、諸司の長官を内裏に集めて、光明皇后冊立さくりつを勅せられたが、他に何人かの意志があつたにしても、最も多く聖武天皇の意志であつたに相違ない。
道鏡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
その王妃は冊立さくりつ後間もなく身ごもり給いて、明け暮れ一室に起臥しつつ紡績と静養とを事とせられしが、そのへや楣間びかんには、先王の身代りとなりて忠死せし黒奴こくどの肖像画がただ一個掲げあり。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
皇太子の冊立さくりつにあたって、正嫡だけを立ててはゆけない。弟流ていりゅうのまた弟流など、枝に枝を生じて、すでに、後醍醐の世には、朝廷内の臣も事実上、四君四派にもわかれていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この七月に皇后の冊立さくりつがあるはずであった。源氏は中将から参議にのぼった。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
帝これを神と崇めまつらせ、古今未曾有の大香薪を積んで火葬せしめ、なお慕うてやまず、美少年スポルス死后に酷似せるを見出し、これを宮し婦装女行せしめ、公式もて后と冊立さくりつせし事既に述べた
帝はやむなく、鍾繇しょうように詔書の起草を命じ、すなわち曹操を冊立さくりつして、魏王に封じ給うた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)