円座わらふだ)” の例文
旧字:圓座
阿闍梨あざりは、白地の錦のふちをとった円座わらふだの上に座をしめながら、式部の眼のさめるのをはばかるように、中音ちゅうおんで静かに法華経をしはじめた。
道祖問答 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
勝四郎よろこびてかの家にゆきて見れば、七十可ななそぢばかりの翁の、腰は一三六浅ましきまでかがまりたるが、一三七庭竈にはかまどの前に一三八円座わらふだ敷きて茶をすする。
かく二七あやしき所に入らせ給ふぞいとかしこまりたる事。是敷きて奉らんとて、二八円座わらふだきたなげなるを二九清めてまゐらす。三〇霎時しばしむるほどは何かいとふべき。なあわただしくせそとてやすらひぬ。
大殿油おほとのあぶらの灯影で眺めますと、縁に近く座を御占めになつた大殿様は、浅黄の直衣なほしに濃い紫の浮紋の指貫さしぬきを御召しになつて、白地の錦の縁をとつた円座わらふだに、高々とあぐらを組んでいらつしやいました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)