兄弟子あにでし)” の例文
兄弟子あにでしにあたる「日蓮記」の巧かつた柴田南玉と古本屋を漁つてゐるうち、偶々「梅暦」を発見し、以来、一と方ならない為永の信者となつて
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
来客と聞いて、お浜もよんどころなく立ち上がって、階子はしごをあがって来る三十四五歳の芸人を迎えた。かれは紋作の兄弟子あにでしの紋七という男であった。
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
店には兄弟子あにでしおとうと弟子と幾人かの弟子がいますが、その人々はただ腕次第、勉強次第でコツコツとやっている。
とにかく、三人そろって旅に出たものですが、村をではずれると、兄弟子あにでしふたりは、わからずやのハンスに
その善鬼というのは、彼がまだ青年の頃、名も神子上典膳みこがみてんぜんといって、伊藤弥五郎一刀斎にいて修行に歩いていた当時——同じ師に付いていたこわ兄弟子あにでしだった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うわさどころか、兄弟子あにでしながらこの蓮信も、あれではちと目に余るくらいでござります。
気のあらい大工の渡世とせいには少しおとなし過ぎるとも思われたが、その弱々しいのがいよいよ親方夫婦の不憫を増して、兄弟子あにでしにも朋輩ほうばいにも憎まれずに、肩揚げの取れるまで無事に勤めていた。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)