傍観ぼうかん)” の例文
旧字:傍觀
云いざま、公平はびゅっと身を横におどらせて、人垣を作りながら傍観ぼうかんしていた仲間の一人を、不意討ちに、頭からり下げた。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その証拠には、現代の医学は結核に対して何の権威を持ちません。権威どころか、荒れ狂う姿を呆然として袖手しゅうしゅ傍観ぼうかんして居るという有様です。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
自分がいかにも偉い者にでもなったように、人の前でも何もかにも物知り顔をしておるさまは、傍観ぼうかんしても見苦しいものであるし、かつ近づく者にも
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ぼくは初めから川北氏に無視された形でしたが、ここでも語学の点で、尚更ひっこんでいなくてはならず、それでもなにかの役に立てばと独りで興奮して、二人の会話を傍観ぼうかんしていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
藩中に商業行わるれば上士もこれを傍観ぼうかんするに非ず、往々おうおうひそかに資本をおろす者ありといえども、如何いかんせん生来の教育、算筆さんひつうとくして理財の真情を知らざるが故に、下士に依頼いらいして商法を行うも
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「や! しばらくだったな丹下。ウム、ここで坤竜に出会ったのか。相手はひとり、助太刀もいるまいが傍観ぼうかんはできぬ。さいわい手がそろっているから、逃さぬように遠まきにいたしてくれる。存分にやれッ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
なぜならば羽柴勢が三木城に釘付けにされ、織田本軍が荒木村重の包囲にかかっている現下にあって、さすがの毛利もこれを傍観ぼうかんしていることはしていないからだった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知り合いの人のなすことを傍観ぼうかんしても、思慮しりょはたいそうよく、すなわち思想においては間違いはなくとも、これを実行せんとするにあたり小さな感情から割り出すがために
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
拱手きょうしゅして傍観ぼうかんする? それも、友情としてしのびないではないか。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)