信田しのだ)” の例文
そこで信田しのだもりへ大ぜい家来けらいれて狐狩きつねがりにたのでした。けれども運悪うんわるく、一にちもりの中をまわっても一ぴき獲物えものもありません。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
鏡子は弟の様に思つて居る京都の信田しのだと云ふ高等学校の先生が、自分は一人子ひとりごむすめよりも他人の子の方をはるかに遥に可愛く思ふ事
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
そしてまたわたしは、あの菜の花の咲きつづく和泉の國、信田しのだもりくずぎつねの傳説をおもひうかべないではゐない。
春宵戯語 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
信田しのだの二郎将国まさくにといふのは将門の子であると伝へられて、系図にも見えてゐるが、此の人の事が伝説的になつたのを足利期に語りものにしたのであらうか
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この砂がき婆さんは一目眇すがめの小さなおうなであったが、五、六種の色の粉末を袋に持っていて人だかりの前で、祐天和尚ゆうてんおしょうだの、信田しのだの森だの、安珍清姫だの、観世音霊験記だのを
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そう云えば、信田しのだの森は大阪の近くにあるせいか、昔から葛の葉を唄った童謡どうようが家庭の遊戯ゆうぎと結び着いて幾種類か行われているが、自分も二つばかり覚えているのがある。その一つは
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
やんややんや、この頃市村座でやっている「振袖信田しのだ妻」二番目の所作唄だな。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
信田しのだの 狐は
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
そこで、ついおとなり和泉国いずみのくに信田しのだもり明神みょうじんのおやしろ月詣つきまいりをして、どうぞりっぱな子供こども一人ひとりさずくださいましと、熱心ねっしんにおいのりをしていました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
葛の葉の信田しのだの森の狐に似てゐる話が「靈異記れいいき」の中にあるが、その狐も人間の子を生んでゐる。
春宵戯語 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
まことにあはれな「信田しのだ」といふものがある。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あるとしあきなかばのことでした。保名やすなは五六にん家来けらいれて、信田しのだ明神みょうじん参詣さんけいに出かけました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)