云付いいつ)” の例文
ついては乃公おれがお前に云付いいつけてこの原書を訳させると、うことによう、そのつもりでなさいといって、ソレカラ私は緒方の食客生しょっかくせいになって
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私は殊更ことさら父母から厳しく云付いいつけられた事を覚えて居る。今一つ残って居る古井戸はこれこそ私が忘れようとしてもわすれられぬ最も恐ろしい当時の記念である。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
此の間孝助が殿様に云付いいつけるのを聞いていたら、源助はうも意地が悪くて奉公がしにくい、一つ部屋にいるものだから、源助が新参ものとあなどり、種々いろ/\いじ
これからお父さんの云付いいつけを、よく守らなくてはいけないよ。お前がお父さんの仰言おっしゃる事をかなかったりすると、お母さんがチャンとどこからか見て悲しんでおりますよ。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこでたずねてみると、妾が寝室へ引取ってからものの五分と経たないうちに、彼の紳士はまた玄関に入って来たが今夜は逢わないという奥さまのお云付いいつけを伝えるとそのまま帰った。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今はハヤ五十二、三年も過ぎてむかし/\の事であるが、そのとき母に云付いいつけられた口上も、先方の大阪屋の事も、チャンと記憶に存して忘れません。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
王子の在へ行って聞きゃアすぐに分るてえますから、実は其処そこいけはた仲町なかちょう光明堂こうみょうどうという筆屋の隠居所だそうで、其家そこにおいでなさる方へ上げればいと云付いいつかって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貧小士族の衣食住その艱難かんなんの中に、母の精神をもっおのずから私共を感化した事の数々あるその一例を申せば、私が十三、四歳のとき母に云付いいつけられて金子きんす返済の使つかいをしたことがあります。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)