乾秣やた)” の例文
お定は馬に乾秣やたつて鹽水に掻𢌞かきまはしてつて、一擔ぎ水を汲んで來てから夕餉の膳に坐つたが、無暗に氣がそはそはしてゐて、麥八分の飯を二膳とは喰べなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お定は馬に乾秣やたつて塩水に掻廻してつて、一担ぎ水を汲んで来てから夕餉の膳に坐つたが、無暗に気がそは/\してゐて、麦八分の飯を二膳とは喰べなかつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お定はすぐ起きて、寢室ねまにしてゐる四疊半許りの板敷を出た。手探りに草履ざうりつゝかけて、表裏の入口を開けると、厩では乾秣やたしがる馬の、破目板をる音がゴトゴトと鳴る。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お定はすぐ起きて、寝室ねまにしてゐる四畳半許りの板敷を出た。手探りに草裏を突かけて、表裏の入口を開けると、厩では乾秣やたを欲しがる馬の、羽目板を蹴る音がゴト/\と鳴る。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
母は裏の物置の側に荒蓆を布いて、日向ぼツこをしながら、打殘しの麻絲をつてゐる。三時頃には父も田𢌞りから歸つて來て、厩の前の乾秣やた場で、鼻唄ながらに鉈や鎌を研ぎ始めた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
馬車ひき老爺おやぢは丁度厩の前で乾秣やたを刻むところであつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)