乳飲児ちのみご)” の例文
背には乳飲児ちのみごおぶって、なるたけ此方こっちの顔を見ないように急いで、通り違ってしまった。きっと、森の中の家に来ているのだろうといった。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……しかしそのうちに乳飲児ちのみごの品夫が、お磯婆さんと一緒に此家ここに引き取られて来るし、仮埋葬かりまいそうになっていた実松源次郎氏の遺骸も、正式に葬儀が行われるしで
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どれもきまって、小さな、窓がひとつしかない部屋で、そこで炊事もするのだった。幾人かの女たちは腕に乳飲児ちのみごをかかえ、あいたほうの手でかまどの上で仕事をしていた。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
の女は金之助の病中に、碁の弟子で、町の豪商なにがしの弟と怪しい仲になり、金之助の病気はそのため更に重くなったのを気の毒とも思ず、つい乳飲児ちのみごを置去りにして駈落かけおちしてしまったのだと話しました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
背に、小さな乳飲児ちのみごを負っていた。子供は、すやすやと眠っている。力なげなランプの光りが、ここまで達しなかった。
森の暗き夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)