久保くぼ)” の例文
朝を待って、僧房の芋粥いもがゆをすすり、焼飯やきめしかては釘勘の腰につけて、三人はまたあし久保くぼの山村を立ちました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東京市は坂の上の眺望によって最もよくその偉大を示すというべきである。古来その眺望よりして最も名高きは赤坂霊南坂上あかさかれいなんざかうえより芝西にし久保くぼへ下りる江戸見坂えどみざかである。
宿内のともの町、久保くぼ武居たけいあぶない、事急な時は高木大和町たかぎやまとちょうまでも焼き払い、浪士らの足だまりをなくして防ぐべき諏訪藩での御相談だなぞと、だれが言い出したともないような風評がひろがった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
またおもひかけず、久保くぼ飯田いひだ爾氏りやうしふ。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その辺の森に添うて、土産物みやげものの店をならべている里人たちに訊ねてみると、その編笠の浪人らしい者は、大宮へは下らずに、間道をとって、あし久保くぼへ抜けたらしいという話。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日の夕刻はゆるゆると、あし久保くぼの山村に着いて、東光寺という僧房に一泊をたのむ。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)