中村座なかむらざ)” の例文
私はやはり友人のドクトルと中村座なかむらざを見物した帰り途に、たしか珍竹林ちんちくりん主人とか号していたあけぼの新聞でも古顔の記者と一しょになって、日の暮から降り出した雨の中を
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
其の後天保てんぽうになって菊五郎は、堺町さかいまち中村座なかむらざ夏演戯なつしばいまた『四谷怪談』をやる事になり、新機軸を出すつもりで、幽霊の衣裳に就いて考案したが、良い考えが浮ばなかった。
幽霊の衣裳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
名人めいじん由斎ゆうさいに、こころうちちあけて、三年前ねんまえ中村座なかむらざた、八百お七の舞台姿ぶたいすがたをそのままの、生人形いきにんぎょうたのんだ半年前はんとしまえから、おせんはきょうか明日あすかと、出来できあが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
中村座なかむらざ市村座いちむらざやぐらにはまだ足場がかかっていたけれど、その向側の操人形座あやつりにんぎょうざ結城座ゆうきざ薩摩座さつまざの二軒ともに早やその木戸口に彩色の絵具さえ生々しい看板とあたる八月はちがつより興業する旨の口上こうじょうを掲げていた。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)