不行跡ふぎょうせき)” の例文
これらがきのう今日は一つになって、内と外から外記の不行跡ふぎょうせきを責め立てている。味方は一人もない。四方八方はみな敵であった。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは病気のさせるわざであったかも知れない。それとも又、細君の不行跡ふぎょうせきに対する、それとなき虚勢であったかも知れない。
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「いや、祖父が大酒を飲んだ酬いで親父が病身でした。現に私が、頭が好くないって、社長に叱られるのも祖父の不行跡ふぎょうせきたたっているんです」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
優善は不行跡ふぎょうせきのために、二年ぜんに表医者から小普請医者にへんせられ、一年ぜんに表医者すけに復し、父を喪う年の二月にわずかもとの表医者に復することが出来たのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
実際、いくら自分を信じてくれ、愛してくれている夫であるからと云って、幸子は自分の肉身の者の度重なる不行跡ふぎょうせきを何として耻を感ずることなしに打ち明けることが出来ようぞ。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
我ながら魔界へ落ちたと、ぐっとお竹を□□める途端に、あたゝかみでふと気が附いたお竹が、眼をいて見ますと、力に思う宗達和尚が、常にもない不行跡ふぎょうせきひげだらけのほおを我が顔へ当てゝ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)