不満ふまん)” の例文
旧字:不滿
ほかの生徒たちは小さなイスにこしかけて、みんな手をあげています。先生は教壇きょうだんにすわって、不満ふまんそうな顔をしています。
日本にっぽん一の御子みこからまたなきものにいつくしまれる……。』そうおもときに、ひめこころからは一さい不満ふまん、一さい苦労くろうけむりのようにえてしまうのでした。
『ではわたくしなどはいたずらくるしみ、不満ふまんならし、人間にんげん卑劣ひれつおどろいたりばかりしていますから、白痴はくちだと有仰おっしゃるのでしょう。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
咲耶子さくやこ竹童ちくどうは、じぶんたちに指図さしずのないのを、やや不満ふまんに思って、おなじように身じたくをしようとしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その後は細君さいくんから不満ふまんをうったえられても相手あいてにならず、ひややかな気まずいそぶりをされても、へいきに見流みながしておった。そうして新小川町に十余年よねんおった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と、つめたい声で不満ふまんそうに言った。おかみさんは、たじたじとうしろにさがり
いまガチョウが、じぶんのことはスラスラ答えたのに、ニールスのこととなると、げるような返事しかしなかったのが、不満ふまんでならなかったのです。
と、長安ながやす不満ふまんな色をたたえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたしがいまお話したことだけでは、ご不満ふまんのようですね。」