下職したじょく)” の例文
てまえばかりじゃございません、ここへ来て働く下職したじょくまで、みんな人間が変ってしまうから怖ろしいものですよ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今の今まで安心していた主人を初め、弟子、下職したじょく、手伝いに駆けつけた人々が、「もう、いけない。出せるものだけ出せ」というので、荷物を運び出しました。
時々下職したじょくが註文をうけに来ていた。連合は開港場の横浜で手びろくやっていた、派手な商館相手の商人だったが、おしょさんのために逼塞ひっそくしたということだった。
髪結床かみいどこ下職したじょくなんぞするもんじゃアありませんね、せめて字でも読めりゃ何とか言って近づくんですが、一の字は引張ひっぱって、十文字は組違え、打交ぶっちがえはたかの羽だと
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
当時、師匠東雲の家は駒形町にありまして、私は相更あいかわらず修業中……その十五日の前の晩(十四日の夜中)に森下にいる下職したじょく塗師屋ぬしやが戸をたたいてやって来ました。
もっとも、下職したじょくも三人入り、破屋あばらやも金銀の地金に、輝いて世に出ました。
権三郎の下職したじょく為吉ためきちというひょうきんな男が下で手を振った。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大工の下職したじょくや左官などが、仕事場から帰り途での噂であった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下職したじょくではない、石工いしくの手伝いをしている人夫である。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隣近所は、すべて下職したじょく衆といっていい。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)