上瞼うはまぶた)” の例文
太つた方は下を視るには視たが、垂れた上瞼うはまぶたの下から、半分おこつたやうな、半分気味を悪く思ふやうな目をして、横ざまに己の顔を見た。
(新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
博士は指先で充血した眼の上瞼うはまぶたつまんで、酸漿ほほづきのやうにひつくり返さうとしたが、直ぐ鼻先に邪魔物が飛び出してゐて、どうも思ふやうにならない。
左の肘を衝く。上瞼うはまぶたが重くなる。八は寝てはならないと思ふのと、蚊にされるのとで、ふさがる目を強ひてく。上瞼が又重くなる。又強ひて目を開く。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ね、若旦那、そうでせう。——安心なさるが宜い、お崎はかんざしか何んかで眼を突かれたけれど、曲者は餘つ程あわてたと見えて、上瞼うはまぶたを怪我しただけ、眼にはさはりはない