三室みま)” の例文
談話室と寝室と便器附きの広い浴室と、三室みま続きの豪奢なものだ。つい前まで関釜かんふ連絡船としてのこの船のこの特等室は朝鮮総督の使用室だったというのである。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ところが——その姿の、うしろ向きに曲る廊下が、しかも、私の座敷の方、もっと三室みま並んでいるのですが、あと二室ふたまに、客は一人も居ない筈、いや全く居ないのです。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二階は三室みまに分れていて、その全体を一人娘の三千子が占領していた。部屋の様子で三千子が余り几帳面きちょうめんなたちでないことが察せられた。化粧室には姿見すがたみの前に様々な化粧道具が乱雑に並んでいた。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
塾生じゆくせい家族かぞくとがんで使つかつてゐるのは三室みま四室よまぎない。玄關げんくわんはひると十五六疊じふごろくでふ板敷いたじきそれ卓子テエブル椅子いすそなへて道場だうぢやうといつたかくの、英漢數學えいかんすうがく教場けうぢやうになつてる。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)