万朝報よろずちょうほう)” の例文
旧字:萬朝報
今より十四、五年前、東京本所に怪火かいかを現出せしことがあり、その当時の諸新聞にも掲げてあった。今『万朝報よろずちょうほう』の雑報の一節を抜粋せんに
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
女史の遺著は小説、歌文、詩、脚本など沢山にあるなかに、『晴小袖はれこそで』は短篇小説をあつめ、『露』は『万朝報よろずちょうほう』に連載したのが単行本になりました。
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
当時抱一は万朝報よろずちょうほう社に在籍して黒岩くろいわの秘書のような関係であったが、読売新聞社から紅葉を朝報社へ引抜こうという献策をして、黒岩の内意をけてその斡旋方あっせんかたを私に持込んだ。
黒岩涙香の名をきいて、いちばん先に思い出すのは彼が在命中の『万朝報よろずちょうほう』である。
黒岩涙香のこと (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
懸賞小説といへばその以前より毎週『万朝報よろずちょうほう』の募集せし短篇小説に余も二、三度味をしめたる事あり。選者は松居松葉まついしょうよう子なりしともいひまた故人斎藤緑雨さいとうりょくうなりしといふものもありき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
余が千歳村に引越した其夏、遊びに来た一学生をちと没義道もぎどうに追払ったら、学生は立腹してひとはがき五拾銭の通信料をもらわるゝ万朝報よろずちょうほう文界ぶんかい短信たんしんらん福富ふくとみ源次郎げんじろうは発狂したと投書した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
高利貸アイス退治と新派劇の保護を標榜ひょうぼうしたのであったが、東京市の有力な新聞紙——たしか『万朝報よろずちょうほう』であった——の大反対にあって非なる形勢となってしまった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私はもし社会が『万朝報よろずちょうほう』や『二六にろく新聞』によって矯正きょうせいされるならば、その矯正された社会は、矯正されざる社会よりも更に暗黒なものとなるのであろうという事を余りに心配している。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その一例として、先年の『万朝報よろずちょうほう』雑報に見えたる一節を転載しよう。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
万朝報よろずちょうほう』の建立者で、ユーゴーの「ミゼラブル」や、その他「モンテ・クリスト」をはじめ、沢山の翻訳があって、ああしたものを、その頃の一般大衆にも読ませてくれた恩人だった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)