一撃ひとう)” の例文
「ゆうべも、半夜のあいだ、あの牢人を連れ歩くうち、絶えず、一撃ひとうちくれてやろうと、狙い続けていたが、どうしても、打ち撲ることができなかった」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たった一撃ひとうちに蜘蛛の眼と眼の間へ突込んで殺してしまいますと、つづいて同じ短刀でお妃に巻きついた糸をズタズタに切り破ってお妃を助け出しました。
オシャベリ姫 (新字新仮名) / 夢野久作かぐつちみどり(著)
いずれも極めて鋭利な重たい刃物で、アッと云う間もない唯一撃ひとうちに片付けられたものと見えた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「わははは。一撃ひとうちだ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上等の桐柾きりまさの駒下駄をシッカリと掴んでいた……というのだから、註文したお客が、仕事に気を取られている老爺おやじの油断を見澄まして、一撃ひとうちにったものに違いない。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)