“ボオイ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
16.7%
少僮16.7%
侍僕16.7%
給仕16.7%
下男16.7%
16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
根岸氏はその豆腐の一つを、ボウル箱に入れて、態々わざ/\正金銀行の支店までボオイに持たせてやつた。根岸氏は幾度いくたびボオイに言つて聞かせた。
ナポレオンの心臓を皿に盛つた軍医のやうに、ボオイは両手でボウル箱を抱へ込んで、人通りの多い倫敦の町を、おつかな吃驚びつくりでそろ/\歩いて往つた。——だが英人に取つて何といふ恰好な役目だらう。
「へへへ……」少僮ボオイは口を歪めたまゝ、珈琲皿を受取つてなかを覗き込んで見た。不味い珈琲はたつた一しづくも残つて居なかつた。
不味まづいね。欧羅巴ヨーロツパの戦地ででもなくつちや、こんな珈琲は飲めないよ。」鼠骨氏はたつた今欧羅巴の戦場から来たやうな表情をして、少僮ボオイの顔を見た。「ところが、生憎あいにくここは日本でね。」
足音を聞いて年長の侍僕ボオイが出て来たが、われ/\を見るなり、別に取りのけてあつたふくを出して壁に掛けた。見事な墨竹の図だ。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
僕はこの家の男にそつと尋ねようと思つて振り向いたが、侍僕ボオイはやはり遠慮して戸口に退いてゐるのだ。兎も角も初対面の人間に対して少し親しみを現はし過ぎる。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
其處へ給仕ボオイが、二枚の名刺を持つて面會人のある事を告げに來た。大阪朝日新聞と大阪毎日新聞の記者である。勿論自分は面會を斷るつもりだつた。
然し自分が給仕ボオイに斷るやうに頼まうと思つた時は、既に二人の新聞記者が船室の戸口から無遠慮に室内を覗き込んでゐた。二人とも膝の拔けた紺の背廣を着て、一言一行極端に粗野な紳士であつた。
部屋ごとの花瓶に素枯すがれた花は、このあいだに女中が取り捨ててしまう。二階三階の真鍮しんちゅうの手すりも、この間に下男ボオイが磨くらしい。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
食後の客間では同じ長椅子に腰かけて、同じ絨氈じゆうたんの模様を踏んで、老人のために茶や煙草たばこボオイから受け次いだりした。われ/\はすぐに親しくなつた。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)