“ようぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヨウゼン
語句割合
窅然29.4%
杳然23.5%
窈然17.6%
涌然11.8%
姚善5.9%
幼蝉5.9%
湧然5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
負えるあり、いだけるあり、児孫じそんを愛するが如し。松のみどりこまやかに、枝葉しよう汐風しおかぜに吹きたわめて、屈曲おのずからためたる如し。そのけしき窅然ようぜんとして美人のかんばせよそおう。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
昔しの人はそうこそ無上むじょうなれと説いた。く水は日夜を捨てざるを、いたずらに真と書き、真と書いて、去る波の今書いた真を今せて杳然ようぜんと去るを思わぬが世の常である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時館の中に「黒し、黒し」と叫ぶ声が石堞せきちょうひびきかえして、窈然ようぜんと遠く鳴る木枯こがらしの如く伝わる。やがて河に臨む水門を、天にひびけと、びたる鉄鎖にきしらせて開く音がする。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だが、また、その声を聞くと、普通のいのちの附根を哀れに絞り千切られたあと、別のいのちが、附根から芽生え出して来たものが忿懣ふんまんやらいつくしみの心やらを伴って涌然ようぜんと沸き立つのを覚えた。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
礼部尚書れいぶしょうしょ陳廸ちんてき刑部けいぶ尚書暴昭ぼうしょう礼部侍郎れいぶじろう黄観こうかん蘇州そしゅう知府ちふ姚善ようぜん翰林かんりん修譚しゅうたん王叔英おうしゅくえい翰林かんりん王艮おうごん淅江せっこう按察使あんさつし王良おうりょう兵部郎中へいぶろうちゅう譚冀たんき御史ぎょし曾鳳韶そうほうしょう谷府長史こくふちょうし劉璟りゅうけい、其他数十百人、あるいは屈せずして殺され
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
老蝉ろうぜん幼蝉ようぜんみんみん共鳴す
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
構内は人影もまばらなほどの裏淋しさ、象徴樹トピアリーまがきが揺れ、枯枝が走りざわめいて、その中から、湧然ようぜんと捲き起ってくるのが、礼拝堂で行われている、御憐憫ミセリコルディアの合唱だった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)