“ほくめい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
北冥50.0%
北溟50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの鯤という言葉は、支那の『荘子そうし』という本の一番始め、逍遥遊篇第一というところに出ている。その文句は〈北冥ほくめいに魚あり、その名を鯤となす。
「親分、北冥ほくめいの魚でしょう。こいでもふなでも構わないが、ここに魚がありさえすりゃ、三万両と転げ込むんだが、無住になった寺方じゃ、いわしの頭もねえ——」
「親分の、北冥ほくめいの魚でせう。鯉でもふなでも構はないが、此處にさかながありさへすりや、三萬兩と轉げ込むんだが、無住になつた寺方ぢや、いわしの頭もねえ——」
その文句は『北冥ほくめいに魚あり、その名を鯤となす。鯤の大さ幾千里なるを知らず』と——ある
北溟ほくめいの雲に没している、眼を落すと、わが山麓には、富士八湖の一なる本栖もとす湖が、森の眼球のように、落ち窪んで小さく光っている。
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
我にあらざるなり、おもひみる天風北溟ほくめい荒濤くわうたうを蹴り、加賀の白山をちてへらず、雪のひづめの黒駒や、乗鞍ヶ嶽駒ヶ嶽をかすめて、山霊やまたま木魂こだま吶喊ときを作り、この方寸曠古くわうこの天地に吹きすさぶを
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)