“ひとかか”の漢字の書き方と例文
語句割合
一抱100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
熊笹の中をけ下ると、つがもみなどの林に這入はいる。いかにおおきな樹でも一抱ひとかかえぐらいに過ぎないが、幹という幹には苔が蒸して、枝には兎糸としが垂れ下っている。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
彼は腰を折りまげて、卓子テーブルの下をのぞきこむと、のろのろした立居振舞たちいふるまいとはまるでちがった敏捷びんしょうな手つきで、一抱ひとかかえもあろうという大きな硝子壜ガラスびんをとりだして、卓子の上に置いた。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
或る午後、十吉が書類綴りを一抱ひとかかへ持つて土蔵から戻つてくると、玄関の広間の電話が突然けたたましく鳴り出した。荷物をおろして受話器をとると、交換手が下関から長距離電話だといふ。
灰色の眼の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)