“なきごえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
啼声63.8%
泣声14.9%
鳴声10.6%
号泣2.1%
吠声2.1%
欷声2.1%
涙声2.1%
鳴音2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その中へ、咽喉のどの水を吐きだした途端に、ほら、ちやうど先刻みたいなギギーッと裂くやうな啼声なきごえと、けたたましい羽ばたきがしたのさ。
夜の鳥 (新字旧仮名) / 神西清(著)
おつや (泣声なきごえになって。)かぜを引いても、死んでも、かまわないと云うのに……。(重兵衛を突き飛ばす。)
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
また道中どうちゅうどこへまいりましてもれい甲高かんだか霊鳥れいちよう鳴声なきごえ前後ぜんご左右さゆう樹間このまからあめるようにきこえました。
おれは斬罪ざんざいになる者の号泣なきごえを聞いているからいやだ。のがれよう、逃れようという気が、首を斬られてからも、ヒョイと前へ出るのだ。しでえことをしたもんで、後から縄をひっぱっている。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
けれど丁度その時運命の神が彼に憐みを垂れる気になったらしく、遠くから犬の吠声なきごえが聞こえて来たのだ。喜んだチチコフは、すぐに馬を駆り立てよと言いつけた。
「僕はとても幸福な気持がする。僕にはいまの赤ん坊の欷声なきごえが天国から聞える様に思へた。」
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
「それは」と私は涙声なきごえで訴えるように云いました。それは斯うなのでございます。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
野は秋も暮れて木枯こがらしの風が立った。裏の森の銀杏樹いちょう黄葉もみじして夕の空を美しくいろどった。垣根道にはそりかえった落葉ががさがさところがって行く。もず鳴音なきごえがけたたましく聞える。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)